『メルヘン死す』

ジーンズの良さが分かり始めた頃。
クリームソーダのどこが好きだったか、忘れてしまった頃。

とある私はティータイム
兎の穴の奥深くで、息絶えようとしている。

カビだらけのお菓子の家、齧っている狼さん
あなたの口が大きいのは、わたしに痛い思いをさせるためだったのよね。

顔を忘れられたくなくて
靴は落としてこなかった意地っ張り。

ロマンス任せにできない日々は
目覚まし時計のジリリリリリで目覚める朝。

ああ、もしかすると
氷の上でシャーベット状になった、アイスクリームが好きだったのよ、わたし。

あの時一緒に解けてしまえば
シュワシュワの海で、まろやかで居られたのにね。


photo by「EIO」様
2020.08.09