『1/7の奇跡』
たった一日の為の六日が終わる。
いよいよ、ようやく、いざ曜日。
口笛型のくちびる
歌う吐息、スキップしたがるフワフワのつま先
新しい服で大好きな私になって
行ってきます。行ってきます。
そわそわの待ち合わせは、カクレンボ気分。
君を見つけると嬉しいけれど
楽しみが一つ減ったような気がした。
さあさあ、おろしたての笑顔の二人
どこへ行こう。どこまでも行こう。
風の芽が出る遠くの丘へ
お日さまに蒸された花だまりへ
とても良い匂いのするパン屋さんへ
子供の頃に君が歩いたあの道へ
何百回も乗りたい観覧車
甘いクレープとしょっぱいクレープを半分こして
夕暮れにシルエットを繋げよう。
夜になれば心ここにあらず
広告街の海を泳ぐ、寂しがりな魚になる。
優しいきっかけ、ふたりの為の口実を見つけよう。
例えば、パンダの赤ちゃんが生まれたみたいな
そんな奇跡があればいいのに。
そうしたら
来週も、デートしようよ。
再来週も、デートしようよ。
photo by「よう」様
2020.12.19