『毒と棘の花』

私は、毒も棘も持たない花。
人畜無害に愛されたがっている。

と、いうような顔をしている
その柔らかな装いの中に
巡るは毒。伸びるは棘。

私の毒は、私を侵す。
私の棘は、私を突き刺す。

傷付ける勇気のない弱さが
向かうところのない攻撃性が
私を私の敵とみなす。
私をどこまでも、傷めつけていく。

私が私の棘で殺されてしまう前に

あなたのほんの気まぐれで
摘まれて枯れていくならば

幾分かは、幸せかしら。


photo by「EIO」様
2021.05.22