『100人の国』

男の子なんだから、泣いちゃダメ。
女の子なのに、泣かないなんて冷たいね。

茶髪巻き髪ブームに背いた、黒髪ストレート。
トレンドの暗髪が、私を囲い込む。

有名人カタログから
似た人を見つけて、名札に貼って

12種類や4種類の小さな運命に
カテゴライズされて

1シーズンごとに切り替わる制服は
私を無個性の広告塔に仕立て上げていた。

こうして世界は、100人の国になる。
こうして私は、0の中の0になる。

本当は、どれもぴったり、私じゃなかったはずなのに。


photo by「佐藤忠雄」様
2021.06.12